お客様の課題・ニーズ
ごみ焼却施設では大量のごみを焼却するため高温の排ガスが発生します。
排ガスには、硫黄酸化物や窒素酸化物、ダイオキシンなどの有害物質が含まれており、適切に処理される必要があります。排ガスは1000℃以上にもなり、炉内の壁には耐火物が敷き詰められています。
耐火物は焼却施設を高温から守り、設備を安定稼働させる役割を持っていますが、温度が上がりすぎると耐火物が損傷する事態となる為、一定温度以上で水噴霧による冷却が行われており、スプレーノズルが使用されています。スプレー設置位置によっては、ガスに煽られ噴射があたり損傷してしまうリスクがあります。
当事例のお客様の場合、既存スプレーノズルにて噴射した水が炉壁に当たり、耐火物が損傷を起こしてしまうという問題が発生していました。耐火物の損傷は、上述の通り設備の不具合につながり、またメンテナンス費用の増加など、ランニングコストの上昇の原因となります。挿入管の追加設置や、配管・設備構造の変更を行うことなく、最適なコストで炉壁の損傷を防ぎたいというご要望があり、当社にお声かけいただきました。
提案内容
炉内のノズル取り付け位置を考慮せずに、当社標準スプレーノズルを選定してしまうと、既設スプレーノズルと同様に炉壁にスプレーが当たってしまいます。
噴射性能を維持しつつ、炉壁の損傷を回避するためには、水圧・空気圧・水量・空気量は変化させず、噴射角度(挟角化)と噴射方向(水平⇒斜め45°下方)を変化させた特注ノズルが必要でした。
試作・評価試験
まず、既存のスプレーノズルをお客様にお預かりし、資料水量分布測定によりスプレーパターンを分析しました。次に、既存ノズルの測定データと、炉壁の図面をもとに、炉壁にスプレーが当たらないスプレー角度・スプレー噴射方向を検討しました。試作品を製作して水量分布測定を行い、試作品修正を行うというプロセスを繰り返しました。
データ上は、炉壁にスプレーが当たらないノズルを完成させましたが、実機に取り付けることで問題がおきないかを確認し、顧客要望をクリアする特注スプレーノズルを完成させました。