お客様の課題・ニーズ
カーボンブラックとは、炭素の微粒子のことです。原料の油を不完全燃焼させて作られます。代表的な用途としては、自動車や航空機のタイヤ、ベルト、ホース、などに使われています。また、黒色顔料としてインキや塗料、IT機器用タッチパネルなどにも使用されます。
カーボンブラックの製造方法の1つにスプレーノズルを使用した製造方法がありますが、原料を高圧及び高温下でスプレーするため、ノズルが磨耗しやすいという問題点がありました。ノズルが磨耗すると、流量や噴射角度が変化し粒子径がばらつくという問題につながります。
従来は、当社ではなく他社スプレーノズルメーカー様のノズルを使用されていましたが、耐摩耗性の向上という点で満足いく提案が得られず、超硬合金メーカーでもある当社にお声かけ頂きました。
提案内容
従来のスプレーノズルは、SUSを材質としていましたが、耐摩耗性、耐久性を向上することができる超硬素材を使用したスプレーノズルに変更することを提案しました。超硬素材の中でも、特性が異なるため、過去実績をもとに圧力、温度が近似していた素材をいくつか選定し、試作を行うことにしました。
試作・評価試験
まず、既存のノズルをお預かりし、流量やスプレー角度など、解析・評価試験を行い、性能の把握をしました。スプレー性能には満足されていたため、性能を維持し、耐摩耗性・耐久性を上げることが必要です。性能が近いスプレーノズルを選定し、超硬素材(G2、G4)を使用した試作品を製造しました。試作品製作後、ノズル流量やスプレー角度などカスタマイズを重ね、耐摩耗性・耐久性を向上させたスプレーノズルを完成させました。
従来ノズルと超硬ノズルの性能確認を、当社の衝突力試験装置などを用いて行っていましたが、超硬ノズルの耐摩耗性を確認するため、実機にてトライアルも行いました。性能を維持したまま、耐摩耗性・耐久性を向上することが確認できたため、量産化しお客様に納入しました。