お客様の課題・ニーズ
私たちの身の回りにある様々な電子機器に使用される半導体。昨今、半導体の重要性はさらに高まり、それと相まって半導体の品質向上は必須となっています。
半導体製造装置の中で、シリコンウエハーを洗浄する半導体洗浄装置は、半導体の品質低下を招くごみなどの異物を除去する重要な設備です。半導体洗浄装置において、純水や薬剤をシリコンウエハーに吹きかける洗浄工程では、1流体や2流体のスプレーノズルが多く使用されています。
対象物に付着する異物や汚れは、0.1㎛のごみから微量な重金属原子、炭素分子、油脂など様々で、これらの中には今までのスプレーでは洗浄・除去できないものもありました。異物によっては除去が難しいものがあり、洗浄装置としての性能を十分に発揮できないことがありました。また、半導体洗浄装置の内部は、複雑で限られたスペースしかなく、搭載できるノズルが限られていました。そのため、当事例のお客様は、①装置に合わせたコンパクト形状で、②洗浄能力が高く異物を確実に除去でき、③洗浄時間が短縮できるスプレーノズルを探しておられました。
提案内容
当社は、装置内に収められるように外観形状をコンパクトにし、かつスプレー流速を向上できるよう内部の経路やオリフィス形状を最適化した特注ノズルの設計・開発を提案しました。スプレー流速を向上することで、異物の除去が可能となり、洗浄時間の短縮が可能になるためです。
試作・評価試験
まず、現状のノズルをお客様よりお預かりし、当社内の評価試験センターで衝突力分布測定・流速測定を行い、スプレーノズルの性能の把握を行いました。現状よりコンパクトに設計し、かつ流速を向上させる必要があったため、経路やオリフィスの最適化、整流効果を持たせる内部構造に変更したノズルの試作品を製作しました。
試作品製造→試験のプロセスを繰り返し、お客様要望を実現できるスプレーノズルを開発しました。洗浄試験として、お客様の半導体洗浄装置に取り付けてトライアルを行ったところ、洗浄能力の向上と洗浄時間の短縮が確認できたため、納入が決定しました。