お客様の課題・ニーズ
半導体などエレクトロニクス関係で使用されている装置については様々な種類があり、半導体洗浄装置もその中のひとつです。
シリコンウエハーを洗浄する半導体洗浄装置は、半導体の品質低下を招くごみなどの異物を除去する重要な設備です半導体洗浄装置において、純水や薬剤をシリコンウエハーに吹きかける工程では、1流体や2流体のスプレーノズルが多く使用されています。
対象物に付着する異物や汚れは、0.1㎛のごみから微量な重金属原子、炭素分子、油脂など多岐にわたります。洗浄には1流体や2流体のスプレーノズルが使用されることが多く、洗浄対象のサイズによって複数個のノズルを配列しています。スプレーノズルの配置に関しては洗浄残りがないようにスプレー同士を隙間なく配列しますが、個数が多いとノズルに付随するバルブや配管、制御機器がノズルの個数分必要となるため、装置全体のコストが上昇してしまうことが装置設計段階の問題となっていました。
当事例のお客様は、ノズルの個数を減らしてコストダウンを図りたいというご要望を持っておられましたが、個数を減らしたことにより、洗浄能力が低下し洗浄残りが出てしまうリスクを懸念されていました。
提案内容
当社は、洗浄対象の不純物のサイズなどの特徴をヒヤリングしたうえで、標準ノズルではなく、スプレー角度をカスタマイズした特殊ノズルを最適に配置することを提案しました。他スプレーノズルメーカー様が提案を断念された案件でしたが、特注ノズルの製作と配置の最適化により、コストダウンと洗浄能力維持を実現することを目指しました。
試作・評価試験
まず、従来のスプレーノズルをお預かりし、ノズル単体での水量分布測定を行いました。
その結果をもとに、複数個のノズルを半導体洗浄装置内の配置通りに並べ、再度水量分布測定を行うことで、現状の問題点を洗い出しました。問題点をデータ化し、ノズルのスプレー角度のカスタマイズ及び最適な配置を検討し、スプレーノズルの試作品を製作しました。
搭載するスプレーノズルの数を減らすため、スプレー角度を広角化する必要があります。どの程度広角化すると洗浄能力が低下してしまうのかを確認するため、試作品を複数個並べた状態での水量分布、衝突力分布、スプレーパターンの評価試験を行いました。試作品修正・配置変更→評価試験を複数回繰り返すことで、最適なノズル設計を行い、洗浄能力を維持できる特注広角ノズルを開発したとともに、最適な配置の提案を行いました。