お客様の課題・ニーズ
自動車に高粘度の防錆剤を塗布する工程においてスプレーノズルが用いられています。
当事例のお客様は、低コストで防錆剤を360°均等に噴射したいとのご要望でした。高粘度の噴射物は、一般的に噴射均一化が難しく、対象物に沿ったノズルが必要になります。さらに、希望納期は6か月後、発注ロット数は1600個であり、設計・開発・試作・製造・納入までを上記リードタイムで行う必要があります。
今回、従来使用されていた他スプレーノズルメーカー様から納期面を始めとして満足のいく提案を得られず、当社にお声かけ頂きました。
提案内容
既存ノズルはオリフィス型でした。オリフィス型スプレーノズルはチップを本体に埋め込むため、製造リードタイムも長く高コストになりますので、納期・コストの面でお客様の要望に応えることができません。
当社はシール材などの高粘度物質をスプレーした実績があったため防錆剤の塗布が可能であると判断し、スリット形状のスプレーノズルを提案させて頂きました。スリット形状のスプレーノズルはオリフィス型より低コストであり、さらに製造リードタイムの短縮も可能になります。
試作・評価試験
既設ノズルをお預かりし、薬剤を頂戴できなかったため代替品として水を用いて評価試験を行い、その流量を基準にスリット径を選定しました。そして、円周上に段違いでスリットを設けた試作品を製作し、噴射確認を行いました。
最初の試作品では、ノズル内部圧力差により噴射の均等性が得られなかったので、流路を1穴から3穴に変更した試作品を再製作し、噴射を360°均一化できるノズルを製作しました。社内テスト後、試作品をお客様のテスト機にとりつけ、防錆剤を実際に塗布しました。結果、防錆剤でも均一性が確認できたため、量産に移りました。